密葬と家族葬と直葬の違いをお坊さんが解説。トラブルやデメリットも知っておきましょう。

葬儀に関わる手続きと流れ

こんにちは、お坊さんブロガーのへんも(@henmority)です。

近年、ご葬儀の規模が小さくなり、密葬・家族葬・直葬(ちょくそう)という言葉を耳にする機会が多くなりました。

  • 密葬
  • 家族葬
  • 直葬

この3つの言葉は似ているようですべて違う葬儀の形です。

どれもひっそりと葬儀を行うというようなイメージをお持ちの方は多いと思いますが、明確に違いを説明できる方は少ないのではないでしょうか?

特に密葬と家族葬という言葉は違いがわかりにくく、内々で葬儀をつとめることを混同している方も多いと思います。

今日は密葬・家族葬・直葬の違いを解説いたします。

密葬とは

「密葬」とは近親者や親族のみで小規模な葬儀を行うことです。

言葉の感じからも人には知らせず「秘密の葬儀」という印象が一番強い言葉ですね。

周りの人には知らせず、近親者や身内だけでひっそりと葬儀をおこなってそれでおしまい、と思っている方が多いと思いますがそれは違います。

もともと密葬というのは、その後に一般の方を案内して行う「本葬」が行われることを前提とした葬儀の形態をさす言葉なのです。

社会的に立場のある方や有名な方は亡くなった場合は弔問客もかなりの数になります。

会場の選定や関係社への案内など準備がおおがかりになるので、親族や近親者だけで先に小規模に葬儀を済ませておき(密葬)、後日遺骨を安置して一般の弔問客を招いて本葬をとりおこなうのです。

この近親者だけで送る部分を密葬というのです。

僧侶であった母方の祖父が亡くなった時、亡くなった直後に親族のみで密葬をしました。

▼その5日後にあらためて関係寺院の方や檀家さんなど一般の弔問客を招いて本葬をおこなうという形で見送りました。本葬の写真

このように本葬の前に親族で葬儀をつとめる場合に密葬と呼びます。

家族葬とは

ひと昔前は葬儀を盛大におこなうことがある種のステータスと思われていましたが、時代の変化とともに葬儀への考え方も大きく変わりました。

地域の方との関わりや関係社への案内を簡素化したいと考える人が増え、葬儀は小規模になっていってます。

そこで、先ほど説明した密葬という形のみで終わらせたいというニーズが増えてきたときに、葬儀業者が名前をつけて提案し始めたパッケージが「家族葬」という形です。

今は一般化した言葉になっていますが家族葬というのは定義が非常に曖昧ですね。

身近な家族で見送る=こじんまりあったかくてよい、みたいなイメージだけで家族葬を選択すると思わぬトラブルをうむことも。

もちろん、亡くなった方の状況によっては「家族葬」という規模がふさわしいこともあります。

ただ、人は家族だけでなくさまざまなつながりの中で人は生きているはず。

最期のお別れをしたいと思っている周囲の方たちの関係も大事にして、小規模ではあっても通常の葬儀をおこなう方がいいと感じるケースが多いです。

また、家族葬のつもりで準備していても、どうしても弔問したいという方が想定したよりも多くなった時には会場がとても混乱します。

故人のお人柄やはたらきのたまものなので嬉しい悲鳴といえますが、やはり最初からご案内しておけばスムーズですよね。

家族だけで葬儀をだすよりは、小規模でも一般的なご案内をして葬儀をおこなうことをオススメします。

直葬(ちょくそう)とは

密葬・家族葬は亡くなったあと通夜・葬儀を行いますが、直葬はさらに簡略化されています。

直葬とは一般的な通夜や葬儀をおこなわず、亡くなった方をそのまま火葬場に運び火葬する方法です。

家族や近親者のみが火葬場に集まって簡単なお別れと火葬をしたら終わりですので、家族葬よりもさらに簡素な送り方になります。

直葬に必要な費用は遺体搬送費用・火葬費用・霊安室の使用料ぐらいですので金銭面での負担が小さいのが特徴です。

直葬を選ぶ理由
  • 親族がほとんどいない
  • 費用をかけたくない
  • 故人や遺族の意思
  • 葬儀なんて意味がないと思っている
  • 寺に関わりたくない
  • 無宗教である

上記のような理由や、お葬式の形態にこだわらない方も多くなったことから直葬という形をとる方も増えているようです。

直葬のデメリット

経済的な理由があるなど直葬という形をとらざるを得ない場合もあると思いますがデメリットやトラブルの原因となることも知っておきましょう。

負担が少ないからと軽く考えて直葬を選んだとしても、そのことで心情面のトラブルが起こった場合はあとから修復するのはかなり難しいと思われます。

親族間のトラブル

直葬を選ぶ方の中には、知り合いはもちろん親族にも連絡せず火葬してしまう方がおられるようです。

すべて終わってから情報が伝わり、のちのち親族間のトラブルを引き起こす原因となることにもなりかねません。

遠方から来てもらうのは大変だからと勝手に判断して、連絡も入れずに直葬するのはやめておいた方が賢明です。

お寺とのトラブル

お寺の住職は檀家さんの葬儀を大切に考え、自分が導師として葬儀をつとめるものだと考えています。

それは故人の人生の最期の姿をご縁のある方がともに見送ることでいのちを考えなおし、教えを学ぶ機会として大切なものだと考えているからです。

また現実的には葬儀やその後の法事をつとめてお布施を預かりすることで、お寺を維持するという役目があります。

菩提寺の僧侶に連絡もせず直葬にした場合、のちの関係が悪くなる可能性は十分にあります。

特に菩提寺にお墓がある場合、納骨の時に問題がおこることがあります

浄土真宗のお墓のイラスト

住職は当然ながら教義にのっとった作法で儀式をおこなうべきと考えていますから、それを無視したやり方で突然たずねてこられると応対に困ります。

事情があって直葬を選ばざるをえない場合も、ひとこと菩提寺にも相談しておくことが賢明です。

親身になって対応してくれる住職なら良い方法を提案してくれるはずです。

密葬・家族葬・直葬のまとめ

葬儀は何でも大きくすればいいということではありませんが、簡素に終わらせ何も学びのないものにしてはもったいないことです。

人が亡くなり、最期をみとることほどいのちの無常さを感じることはありません

生あるものは必ず死に帰す、これはまぎれもない事実。

だからこそいただいた人生をしっかりと生きることの大切さを学ぶ機会として、また絶対に来る別れに対してきちんと心のけじめをつけるという意味でも葬儀はやはり大切な儀式なのです。葬儀のご本尊阿弥陀如来写真

浄土真宗ではなくなった方は阿弥陀如来のはたらきで浄土へ即座に生まれ、諸仏のひとり(数多くの仏さまのひとり)となられると受け止めます。

諸仏というのは仏教にご縁をつなぎ、生き方を教える先生の1人となられるということです。

亡くなったら終わり、ではなく縁のある人が故人の生き様を思い返し、それをのこったものたちが共有してともに学ぶ

そのことで故人のいのちが次の世代へつながると言えるのではないでしょうか。

儀式の煩わしさを感じる方や、お寺や僧侶に疑問や疑念があるなら直接お坊さんに聞いてみてください。

きちんと答えてくれないお坊さんならお寺をかえるのも選択肢のひとつです。

ご家庭の状況や環境によっては省略・簡素化せざるを得ない場合もあるでしょうが、亡くなった方のいのちが無駄にならない、いいご葬儀をだせるように考えてみてくださいね。

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