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沈香とは?貴重な香りの特徴や採れ方、オススメの線香もお坊さんが紹介。

こんにちは、お坊さんブロガーのへんも(@henmority)です。

香木の香りってなんともいえない良い香りがしますよね。

中でも沈香は幽玄で、とても落ち着く良い香りがします。

本記事では沈香(じんこう)を使ったオススメのお香や沈香の特徴について詳しく解説しました。

沈香(じんこう)とは

沈香とは落ち着いたとても良い香りを放つ香木の一種で「じんこう」と読みます。

お寺では主に焼香の時に使われることが多いですね。

日常生活では触れることはほとんどないと思いますが、目にするとしたらこういった沈香を刻んだものでしょう。

刻んだ沈香の写真

沈香は常温ではあまり香りがしませんが、熱したとたんとてもよい香りを放ちます。

産地によっても香りに違いがあります。

  • 甘み
  • 辛み
  • 苦み
  • 酸み
  • 塩辛み

これらの味わいが複雑に絡み合って、一言で表現するのが難しい奥ゆかしい香りを楽しむことができます。

沈香はどうやって採るの?

沈香は香木ですから、その名の通り「木」であることはわかります。

ただ、そこらへんに生えている木から採れるわけではないんですよ。

沈香になる木

沈香はジンチョウゲ科アキラリヤ・マラヤ属と呼ばれる種類の木が変質してできる香木です。

沈香のもとになる木の写真(写真提供:岩佐一史さん)

ジンチョウゲ科アキラリヤ・マラヤ属の原木の写真

この木は地面に生えている段階や、木材として切り出した状態では香りは無いそうです。

しかし、特別な変化が起こった時だけ沈香と呼ばれる香木に変質するという特徴を持っています。

特別は変化とは、木に傷がついたり虫に食われたりしたときに樹脂が損傷部分に集まって凝固するという変化です。

このように偶然にも木の樹脂が凝固した部分のみが沈香と呼ばれる香木として利用されます。

沈香の産地

このジンチョウゲ科の木は熱帯地方に生えるのでとれる地域が限られます。

沈香の採れる地域
  • ベトナム
  • インドネシア
  • タイ
  • マレーシア
  • カンボジア

など

よく目にするのはインドネシア産ベトナム産ですね。

産地によって香りも品質も大きく違います。

沈香ができるまでの年数

沈香ができるためにはすごい年月がかかります。

まず木が育つのに20年

その中から沈香に変質するまでに30年〜100年かかるといわれています。

長い時間をかけて自然が作り出した希少なものなので、取引される値段も高くなるんですね。

写真の左半分はただの木の状態が残っていて、右半分が沈香化した原木です。(沈香部分の価値は約80万円!!)

沈香になった部分と通常の木の状態が両方ある香木の写真

白い部分はただの木なので何の香りもしません。

沈香にならなかった部分の拡大写真


黒い部分はうっすらと香りがして、削って熱するとめちゃくちゃいい香りがします。

沈香原木の拡大写真

樹脂として凝固しているので、紫外線や環境変化にも強いので、長期間保管しやすい香木といえます。

実際の沈香の採り方

長い年月をかけてできた天然の沈香は、産地の川や池などの水の中に沈んでいたり、山の中に埋まっています。

自然の中から掘り起こして産出するのでまるで宝物の発掘のようですね。

沈香のもとになる木が倒れたあと、水の中や土の中で虫が食べたり微生物によって木の部分はなくなってしまいます

例えばこの沈香の原木も、水の中や土の中に埋まっていたら、白いただの木の部分はいずれ分解されてなくなります。

木の部分が無くなってしまったあと、樹脂が凝縮して沈香になった部分は虫にも食べられないため水や土の中にそのまま残るのです。

とても安定的で変質しにくい物質になるんですね。

その固く樹脂の塊になったものを掘り起こして香木として利用するのです。

沈香にならなかった部分は分解されて無くなり、沈香として樹脂が凝縮した部分だけが残った原木(約120万円!!)
沈香の原木写真2

沈香の香りが楽しめるお香

沈香の香りを楽しむならお線香か刻みのお香を用いるのが手軽ですね。

沈香の香りが感じられる線香

パッケージに沈香の香りと書いてあっても、お線香の品質はさまざまです。

中にはまったく沈香の香りが感じられないような商品もあります。

ここではぼくが実際に使ってみてよかったお線香を紹介しますね。

山田松香木店「縹風」

まずは山田松香木店の縹風。

スッキリとした清涼感のある香りの中に沈香の落ち着いた甘みが感じられます。

お値段はちょっと高めですが、品質がすごく良くてオススメのお線香ですね。

気温の低い日にこの線香を炊くと、とても静謐という感じがしてすごく気持ちが良いです。

みのり苑 風韻「沈香」

みのり苑の風韻「沈香」も香木の香りが感じられるお線香です。

風韻の沈香は甘みが抑えめでどちらかというと渋い印象の香りです。

落ち着いた香りが好きならこちらもオススメですね。

沈香の刻み

香木の香りそのものを楽しみたいなら香木を刻んだものをお買い求めください。

お焼香に使うことが多いですが、お部屋のお香として利用しても何も問題ありませんよ。

冬場ならストーブの上にアルミホイルを敷いて加熱しても香りが広がります。

タニ沈香

インドネシアで産出した沈香をタニ沈香といいます。

どちらかというと甘みが少なく、落ち着いて渋いという男性的な雰囲気の香りです。

シャム沈香

ベトナムでとれる沈香をシャム沈香といいます。

シャム沈香のほうが甘みがあって華やかな印象です。

タニ沈香に対してシャム沈香の方が値段も高いですが、香りもその分良いですね。

ぼくはシャム沈香の方が好きです。

沈香習いアソートセット

沈香は産地によって香りが違うので、いろんな沈香の香りを試したいならアソートセットもいいですね。

産地などの知識と香りがあわさるとさらに楽しめるものになりますよ。

人工的に沈香を作る方法もある

さて、おまけとして紹介しておきたいのが、人工的に作った沈香の話です。

沈香は貴重で資産価値が高いので、沈香の産地ではわざと木に傷をつけて人工的に沈香を作る商売もあるそうです。

人工の沈香の見分け方

人工の沈香は木にドリルで穴をあけて傷をつけて放置するという作り方。

ドリルの穴があいている沈香は人工的に作ろうとした沈香だそう。

人工的に作った沈香でもいい香りのものはありますが、品質にはばらつきがあります。

一応は樹脂が凝縮して沈香にはなっているけれども樹脂の凝縮が弱くて香りが薄いものも多いそうです。

合香師・岩佐一史さんの話によると、お坊さんがインドなどに行って、現地スタッフなどに勧められて買う沈香や伽羅は人工の沈香を売られている可能性が高いとのこと。

人工の沈香でも品質のいいものはありますけどね〜とみせてもらった人工沈香の原木がこちら。

沈香になった部分以外が分解されて、すごく芸術的な造形に。(約100万円!!)


この人工の沈香の話を聞いて、ふと思い出したことがあるんですよ。

へんも

ん・・・?

昔インドで沈香の特級品とよばれる伽羅を買ったぞ・・・?

と。

インドで伽羅(きゃら・沈香の特級品)と言われて買ったお香

昔、ぼくもインドにお釈迦様にゆかりのある時をめぐる旅に行ったことがあるんですよ。

その旅の途中でガイドさんにすすめられて伽羅(きゃら・沈香の特級品)を買ったことを思いだしたのです。

ガイドさん

コレ、メチャメチャ イイ キャラ!!

若いころのへんも

伽羅って高いでしょ?

買えないですよ〜。

ガイドさん

ソンナニ タカクナイ!

カオリ スゴーク イイ!

ガイドさん

コンナ オトクナネダンデハ ナカナカ カエナイ!

若いころのへんも

そっかー。

たしかに香りもいいし、記念に買って帰ろうかなぁ・・・

と思ってちょっと奮発して旅の記念に買ったんですよね。

▼使って減ってますけど、この袋にいっぱいでたしか2〜3万円だった気がします。


袋からお香を取り出してよく見てみると・・

おいッ!

めっちゃドリルの穴が開いてるやんけ!!

そっか〜人工の沈香だったか〜・・・

いやはや、香りはいいし旅の思い出になってるし、香りもいいし・・・

と自分を納得させつつ、購入から10年以上たって知る衝撃の事実。

インドで伽羅(沈香の特級品)と説明されて買ったお香は人工の沈香だった!!

沈香まとめ

本当になんとも言えない良い香りがする沈香

沈香の香りには沈静効果があると言われ、戦国時代の武将は戦に望む高揚した気持ちを抑えるために兜や鎧にたきしめたとも言われます。

ぼく自身もめちゃくちゃ好きな香りですし、ぜひ一度はその香りを体験してみてほしいですね。

焼香用で市販されている刻みのものはほとんど本物ですが、原木や数珠、仏像などに加工されたものを買う時は要注意してください。

価格も高く、資産価値があるため偽物も多くでまわっています

有名なデパートなどで売っているのに本物の沈香ではないということもあるようで、入手ルートが信頼できるお店以外で購入すると悪意はなくても偽物をつかまされる可能性も高い商品です。

とくに沈香の中でもさらに樹脂が凝縮した特級品の伽羅ともなると、原木は何百万円にもなります。

偽物を買ってしまった時の損害はとても大きくなりますので、購入される際は気をつけてくださいね。

つぎの記事では本物の沈香と偽物の沈香を見分ける方法を紹介しますよ。