身近な法具、数珠・念珠の話。

みなさんご自分の「数珠」って持ってますか?

葬儀会館で入り口に数珠を忘れた人用のレンタル数珠を置いていますね。

ご自身のものとレンタルと、別に数珠としての違いは何もありません。

しかし、仏前に参り尊敬の心・感謝の心こういうものを合掌・礼拝という態度で示そうとするときに、簡易のレンタルのものを使って参るよりは、ご自身の大事にしている数珠を持って参ろうかという心持ちが真摯に仏さまにむきあうことにつながるのではと思うのです。

まあでも人間ですから、そう思ってても持って行くのを忘れてしまうことはありますけどね。
今日は仏さまを礼拝する時に用い、最も身近でなじみ深い法具「数珠」「念珠」について考えたいと思います。

数珠の起源

数珠は仏教のはじまり(紀元前6世紀ごろ)以前に、インドではすでに存在していた形跡があるそうです。もともとはバラモン教で使われていたもので、仏教教団にとっての必須の法具というわけではなかったようです。

ですから、インドから後にタイ、ベトナムなどの南方に伝わった仏教教団では僧侶も在家(一般の方)も基本的には数珠は使いません。

しかし中国、朝鮮、日本へと伝来した北方仏教では数珠を用いる作法に重きを置いたため、現在の日本の仏教教団では各宗派とも数珠を用いています。

使用方法やその意味については各派様々な違いがあります。

ちなみにインドで使われていた数珠の原型が西洋に伝わり、キリスト教のロザリオとなったという説もあるようです。全く違う土地で歴史を重ねたものがさかのぼれば同じ起源を持つとはなかなか興味深いものです。

さて、浄土真宗としての数珠を考えてみましょう。

数珠の形

108玉の2重の輪になるものを双輪数珠(ふたわじゅず)や本連数珠(ほんれんじゅず)と呼び、1重の輪のものを単輪数珠(ひとわじゅず)、単連数珠(たんれんじゅず)と呼びます。単輪数珠の玉の数は15〜45玉くらいで作られています。

一昔前は108の約数(18や27、36など)が多かったみたいですが、最近は特に意識されていないようです。

珠の数や材質、房の形などに規定はありませんが、一般の門徒の場合、本連数珠は使わず単輪数珠(男性は房が組紐、女性は房のもの)を勧められることが多いようです。

▼組紐(くみひも)

▼房(ふさ)

材質は石、琥珀、木や木の実などが使われます。好みのものを使うといいでしょう。

▼変わったものだとクルミを横割りしたものなんかも。

ケヤキの数珠。
これはお世話になってるお寺から頂いたものなのですが、お寺の部材として使われていた木材を材料にして作られた数珠です。

こういうのは物語があっていいですね。

善照寺は鉄筋コンクリートなので、これはできませぬ…。

毎日数珠を持ち歩き使う身として「好み」を申し上げると、石のものはきれいだけど紐が切れやすく、冬冷たいのであまり選ばないかもしれません。

木や木の実が材料のものは手触りがあたたかく、長年使っていくうちに色味が変化して味がでるので大事に使い甲斐があるところがいいですね。

木の「共仕立て」(ともじたて・クルミの数珠の写真がわかりやすいですが、赤い石が入っている部分、大きいところを親玉・小さいところを弟子玉といいます。その部分も主に使われている素材を同じ素材で仕立てることです。けやきの数珠は親玉が共仕立てです。)が紐も切れにくくて、手から滑り落ちにくいので個人的には好きです。

数珠の持ち方

▼合掌の時は必ず両手にかけ、組紐・房が下に垂れるようにし、親指で軽く押さえます。

合掌していない時は左手に持ち、房が下に垂れるようにします。

蓮如上人は「念珠をせずに合掌することは仏を鷲掴みにするようなもの」と戒めておられます。

参拝の際は数珠を忘れないようにしましょう。数珠は法具でありますので大切に扱い畳や廊下などに直接置いてはいけないとされています。

バチが当たるとかそういうことではなくて、丁寧に扱いましょうということですね。

他宗派では「念仏の数を数えるため」「擦りならして煩悩を滅するため」などいろいろと数珠の使い方がありますが、浄土真宗では「ただ両手にかけて礼拝する。」のが正式な使い方です。

じゃらじゃらと擦りあわせたり、つまぐる(念仏の数を数えて玉を指で動かす)ような事はしません。

数珠の形から学ぶ事

数珠の珠はそのままではバラバラになってしまいますが、中心の紐のおかげで綺麗に整列し、輪の形を保っています。

その玉の1つを「自分自身」と見立てると、残りの玉は直接出会う人、少し関わりのある人、会った事もないけれども縁のある人、これから出会う人、などと言えるでしょう。

そういう人々と自分とが、ともに1つのご縁の糸で繋がっているという数珠の形から、“自らも生かされて生きている”ということを学ぶことができるのではないでしょうか。

ご縁の糸を切る事は簡単ですが、切れた縁をもう一度綺麗につなぎ直すことは大変難しい事です。

数珠も人の縁も大切にしたいものです。

合掌

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このブログを書いている人

真宗興正派善照寺というお寺の住職をつとめながら、一方ではフットバッグというスポーツで4年連続日本一を継続中。

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