この七条袈裟は葬儀をはじめお寺の改修や住職継職法要など、1番の礼装で参列する時に着用します。
これからお坊さんになる方のために着方をここに記しておくことにしましょう。
七条袈裟とは
▼細長い横被(おうひ)[写真左]と七列に縫い合わされた袈裟[面積の1番大きい布]、それに絹の紐が組まれた修多羅(しゅたら)[写真奥の紐]を組み合わせて着用します。
▼写真を見て頂いてもわかるように畳よりも大きい厚地の布なので、着用すると結構ズシッと重たいのです。
七条袈裟を着ける前に修多羅をセット
七条袈裟を実際に体に巻く前に修多羅を結びつけておくという準備があります。
1.修多羅の1番上にある結び目のちょい下を袈裟の結び目にあわせます。
七条袈裟の表には2箇所細い紐がついています。
▼その上側の紐がついている部分に、修多羅の1番上にある結び目のちょっと下側をあわせます。
2.細い紐を写真のように、それぞれクルッと1周まわします。
3.そのまま両端をまとめて蝶結びにします。
修多羅は裏表がありますので間違えないように!!
▼この状態は間違った止め方です。結び目が十字になっているのは裏ですね。
何気なく取り付けると裏側になっていることがあるので注意してください。
4.下側の紐も結びましょう。
上を固定すると、下側の紐はだいたいこのぐらいの位置にくるはずです。
▼七条袈裟についている下の紐を結んで輪を作り、蝶結びをします。
▼下側の紐はこのように空間をあけて修多羅が動くようにしておくそうです。びっちり締め付けないようにしましょう。
七条袈裟の着方
ここまでセットできたら実際に着用していきます。
1.切袴(きりばかま)、色衣を着て僧鋼板(そうごうばん)、石帯(せきたい)をつけます。
2.横被(おうひ)を右肩にかけ紐を結びます。
横被には生地の端と真ん中あたりに紐がついています。
▼真ん中側の紐が体の前に、端についた紐は背中を通して左の脇の下から取り出します。
▼体の前にきている紐と、左脇の下からだした紐を結びます。
2.七条袈裟の端を折りたたみます。
▼修多羅がついていない部分の裏側には、力紐と輪になった裏威儀紐があります。
▼折り目に沿って「Z」のように折り返して、紐と輪になった部分を持ちます。
▼輪になった部分を基準にして、表側が外になるように折り返します。
3.補助をしてもらいながら着用します。
基本的に七条袈裟は2人がかりで着用する衣です。
生地が重たいので1人で無理矢理着ると僧綱板や色衣がズレてしまったり、変なシワが入って着崩れてしまいます。
お葬式は僧侶1人で勤めるものではないということが言われますが(地域によって違うかな?)、七条袈裟を1人で着用するのは難しいというのもその理由のひとつです。
がんばればできないことはないんですが・・・強く引っ張ると生地が傷みますし、七条袈裟は非常に高価ですので維持をするためにもあまり無理をして傷めたくないなぁというのが正直なところです。
▼さきほどの折り目をもちます。
4.右の袖と、先に着けた横被の下から右脇にはさむように袈裟を通します。
5.後ろの人は袈裟が落ちないようしっかり支えながら、裏地についた力紐を着ている人に手渡します。
▼左手で折り目側に着いた紐を持ち、右手で背中側から渡してもらった力紐をとり、2本を結びます。
▼これをビシッと結んだら手を離して袈裟はおちません。
この段階で後ろ姿はこのようになっています。
首の後ろにくる横被と袈裟が重なって「V」字になっている部分が体のセンターに来るようにしましょう。
▼歪んでいないか、また変なシワが入っていないか、後ろの幇助の人が調節してください。
▼ダメな例。「V」字がズレていますね。
着ている人はこんな風にズレていてもどのくらい角度を変えればいいのかわからず、自分で修正することができません。
後ろの補助の人がなおしてあげましょう。
6.修多羅を裏威儀紐の輪に2本通す。
後ろから修多羅を手渡ししてもらいます。
▼合計4本の紐があるうち、2本を輪に通します。
7.修多羅の紐どうしを結びます。
▼2本づつに別れている修多羅をグッと締め固定します。
▼略式は蝶結びをして完成。普段使いはこのように蝶結びしている人が多いですね。
8.横被のシワを直します。
修多羅を結んで完成!と思っている方も多いのですが、この後ちょっとしたポイントがあります。
▼力紐や修多羅を結んだことで最初に着けた横被の紐が引っ張られてシワになることがほとんどです。
▼解消法として、最初に結んだ横被の紐を一端ほどきます。
▼七条袈裟でおさえられているので外れません。力紐の後ろを通っている紐を取り出して・・・
▼力紐の上を通るようにちて結びなおすと綺麗に仕上がります。
▼これで完成ですね!
七条袈裟の着方まとめ
着る行程の中にいくつかポイントがあるので、それぞれきちんと抑えておくと綺麗に着付けることができます。
特に最後の横被の紐を結び直すところを知らない人も多いので、ぜひ次に着る機会にやってみてください。
途中修多羅の結び方は略式で蝶結びと書きましたが、本式の海老巻きと言われる結び方はややこしいので別記事で紹介しております。
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