質の高いパロディを作るというのは非常に難しいことです。
どこを抽出するのか選ぶセンスと本家の作品に対する深い理解が必要ですよね。
そんな本家の作品への理解、パロディのセンスともに素晴らしい作品に出会ったのでご紹介。
中間管理録トネガワ
悪いことは言いません、本家カイジを読んでおもしろいと思ってる人は損しないから読むべし。
こんなセンスを身につけたい。
萩原天晴 の 中間管理録トネガワ(1) (ヤングマガジンコミックス) を Amazon でチェック! https://t.co/PoS7B9ZB93 @さんから— 三原貴嗣〔へんも〕 (@henmority) 2016年10月15日
この中間管理職トネガワはカイジシリーズのスピンオフ作品として作られた漫画です。
スピンオフというのは「派生作品」という意味で、原作者ではない人が本家の世界観をふまえて別の作品を作るということですね。
まあこの「トネガワ」、派生作品と良いながら本家カイジの作者:福本伸行さんが番外編として書いたんじゃないかと思うような出来映え。
そしておもしろい。
質の高いパロディが作れるというのは、作品の中に流れている本質をつかみ、どこがツボかがわかっているわけです。
逆におもしろくないパロディというのはその本質の抑え方を間違っていたり、ズレてたりするんですよね。
しかしこの「中間管理録トネガワ」はカイジのファンが、カイジのどこをおもしろいと思っているのかをしっかり理解して作品に落とし込んでいます。
表面的な表現のコピーだけじゃパロディとは言えない。
「圧倒的・・・!」とか「ざわ・・・」とかカイジに使われている表現を表面的に使っただけではダメなんですよね。
そんな薄っぺらいパロディなんて、まさに虚仮・・!
まるっきりだめ・・・!というか満たしていない・・!何ひとつ・・!
そんな本家の作品の中に流れている言葉のリズムやコマ割りのテンポ、言葉のチョイス、そういうものをきちんと抑えながら一級のギャグ漫画に仕立て上げるという恐るべき作品。
と、その前に。
ぜひとも本家漫画の「賭博黙示録カイジ」の利根川が最終的にどうなるかまでを読んで、それからでないとこの中間管理録トネガワのおもしろさは理解できません。
本家の漫画では人間の欲望がうずまく中、命をかけたゲームでシリアスな場面を乗り切っていくだけに、このスピンオフ作品の気の抜けた感のギャップが非常に素晴らしいセンスで描かれています。
時事ネタも巧妙にしこまれていて、まさしくこれはプロの犯行。
そして本家カイジの作者:福本伸行さんも協力で名を連ね、特別に書き下ろした「トネガワ」も収録されており贅沢な内容です。
LINEでわかる歎異抄を作る時にも、どこで意味を抑えて、どこで笑いをとるのか悩みながら作っているのですが、エッセンスの盗み方は非常に参考にしたいと思う作品です。
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