こんにちは、お坊さんブロガーのへんも(@henmority)です。
何か木に墨で自を書くときに失敗の中で特に多いのが「にじむ」という問題。
木に書く時って失敗が許されにくい状況が多いのに、そんな時に限ってそこら辺の習字用の墨液で書くとかなりの確率でにじんでしまいます。
今日はぼく自身が実際に使っている木に書いても滲みにくい墨液を紹介。
木に書く時はにじみに要注意
お坊さんの仕事のひとつに、「位牌や過去帳に法名を書く」というのがあります。
過去帳は和紙なので普通の墨液を使って書いても問題無いのですが、木の位牌に書く時はちょっと勝手が違います。
なぜかというと、木の繊維に墨がにじむのです。
ですので、これに対処する「お坊さんあるある」なのですが、
- 木の表面にチョークを塗って木の繊維の隙間を埋める。
- 布で表面をゴシゴシ擦って木の表面の繊維を滑らかにしてにじみにくくする。
など下処理をしてから筆で書いたりします。
特に位牌に書く時は失敗が許されないので一発で決めないといけません。
毎回集中して書きますが、下処理が甘いとにじんでしまいます。
ぼくも昔はそういう下処理をしてから書いていましたがうまくいかないこともありました。
そこで習字の先生に何かいい解決策ないですか?と相談したところ、薦められて使った墨液が非常に良かったので紹介します。
墨運堂 玄宗 超濃墨液
これが木に書く時にめっちゃいいんですよ。
墨をちょっとだしてみました。
▼写真ではわかりにくいかも知れませんが、超農墨液とだけあってかなり粘っこくて色味が濃い墨液です。
紙コップの裏にだして、ちょっと傾けていますが相当粘りがあって流れていきません。
▼粘りがあるので字を書く時にもたついて書けないかと心配になるのですが、実際に文字を書くときにはスーッとのびていく適度な濃さです。
「玄宗」超濃墨液を使って木の札に試し書きしました。
古くてかなり乾燥している木札です。
表面の木目も粗く古い木特有の木の表面の溝も深くなっています。
▼これに先ほどのチョークなどの下処理はせずに書いてみました。
筆に墨をべったりたれるぐらいつけて書いたのが1番上。
そこから順番に下に連続して書いていきましたが、上から4番目5番目ぐらいの線が通常文字を書くぐらいの墨の量だと思います。
ですので、書くものにもよりますが、下処理なしでこのぐら滲まなければ実用に耐えるのではないでしょうか。
粘りはありますが非常に滑らかで書きやすい墨液です。
写真の木はもう30年以上前の木なのでかなり乾燥していますが、それでもこの程度のにじみでおさまります。
木に書いてもにじみにくい墨液まとめ
ここ数年、位牌・過去帳ともにこの墨を使って書いています。
葬儀の時に使う白木の位牌なども下処理なしで直接書いてもほぼにじむことなく仕上げることができます。
今日の記事はかなりお坊さん向けの用途解説になってしまいましたが、もし木になにか筆で書く必要のある方(お店の看板とかメニューを書くとか)にはいいんじゃないでしょうか。
筆ペンで木に書くと年数がたつにつれ、文字の色味が薄くなっていきますが、この墨はぼくが使って確認した分にはそういうリスクも少なそうです。
木に文字を書くときにじんでしまって困っている方は一度試してみてはいかがでしょう。