[法話]実るほどこうべを垂れる稲穂かな。稲穂の姿に大事な事を学ぶ。

稲穂が育ち、もう少しで稲刈りの時期になりますね。

だんだん稲穂がふっくらしてきて、おいしい新米が食べられるのもそんなに遠くはなさそうです。

今日は有名な稲穂に関する詩を引用してのおはなし。

実るほど こうべを垂れる 稲穂かな

非常に有名な詩ですね。

調べてみると言い回しが少し違う言い方があって、

「実るほど 頭の下がる 稲穂かな」

など、いくつか似た言い方があるようです。

辞書には

学問や徳行が深くなれば、かえって謙虚になる。実る稲田は頭垂る。実ほど頭を垂れる稲穂かな。 大辞林より

とあり、要は豊かに実った稲はその重みで頭が下がる、その様子から何らかを学び修めた人は謙虚さを兼ね備えるようになるという意味ですね。

この詩、

へんも
ああその通りやな

って何げなく思いますが、よくよく味わうと深いことを言っていますね。

頭が下「」るとか、垂「れる」いうところが非常に重要な表現なんです。

「頭を下げる」と「頭が下がる」

「頭を下げる」と「頭が下がる」は動作としては同じですけど、実はこの2つには大きな違いがあるんです。

頭を下げる

人はお金のためなら頭を下げることができます。

仕事を紹介してくれたり、お得意さんであったり、ここで「頭を下げ」といたら自分にとって利益があるぞ!という時はペコペコ頭を下げることができるんです。

気持ちなんて、ひとっつもこもってなくていいんです。

自分の尺度や都合であっちにペコリ、こっちにペコリ。

意識的にペコリ、狙ってペコリ、頭を「下げる」のはポーズでできてしまうことなのです。

頭が下がる

しかし、「頭が下がる」というのはちょっと違うんですね。

これは損得や自分の都合を超えた世界なんです。

相手がどうとか、利益や損得の問題じゃなく、私がどのような存在なのか?という気づきによってもたらされる、中身が問われる問題なんです。

頭が下がるというのは自然に起こってくることで、狙ってポーズでできることではありません。

どういうことかというと、私の中に中味が詰まらないと「頭は下がらない」んですね。

中味というのは感謝と尊敬の心、そして「おそれいる」という心

自然に「頭が下がる」人というのはなかなかいないんです。

稲は稲の力だけで育つのではない。

稲が生長するには稲自体のもつ力はもちろん大切ですが、それだけでは成長しません。

土がないといけません。

水がないといけません。

日光がないといけません。

いろいろな要件が揃って、時間とともに稲穂の中身が詰まっていく。

中身が詰まってこないと頭が下がらないわけですね。

人間も一緒だ。

これは人間も一緒なんです。

自分が成長するまでに様々な支えとご縁があってここまで育ってきたわけです。

もちろん自分の努力もあるでしょう。

しかしそれ以上に、自分の目には見えないたくさんの「はたらき」に支えられて育ってきたはずです。

成長をうながす「はたらき」によって自らが成り立っているという事実に気づけるかどうか。

この「気づき」がないと、いくら知識を得ようが仕事をこなそうが、「ありがたい」という心は生まれず頭は下がらないのです。

「はたらき」は「影の力」

古くから日本は直接的には見えない「はたらき」すなはち、「影(かげ)」の力に感謝する生き方をしてきました。

それが言葉にも表れているんですね。

「かげ」に尊敬の「御」をつけて「おかげ」と言いました。

さらに丁寧にして「様」もつけて「おかげさま」となりました。

私がここまで育ってきたのは「おかげさま」である、こういう精神を大事にしてきたわけです。

現代は個人の主義主張を強く言う時代になりましたが、自己主張がどんなに強くなろうとも多くのものに支えられて生きているという事実自体に変わりはありません。

自分が支えられていることに気づかず、自己顕示欲とメンツでぱんぱんの稲穂は、肝心な栄養が入っていないから熟していかないわけです。

いつまでもこうべを垂れず、青くぴんと突っぱったまんま。

そんなお米食べれたもんじゃないんですね。

頭の下がった稲穂の姿に「おかげさま」の心を学ぶ。

秋の光景の中でこのお話も思い出していただけたらなと思います。

・・・いかん、真面目に書きすぎたっ!

もうちょっと楽に学べる友引や仏滅など六曜の意味幽霊の話なども人気です。

お経の意味LINEでわかる歎異抄なんかも読みやすいと思います、あわせてどうぞ!

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このブログを書いている人

真宗興正派善照寺というお寺の住職をつとめながら、一方ではフットバッグというスポーツで4年連続日本一を継続中。

真面目なお寺の仕事からステージでのパフォーマンスまで、幅広い活動を通して学んだことをわかりやすくお届けしていきたいと思っています。

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