ぼくがこどもに教えておきたい大事なことのひとつに「物事の教わり方」があります。
いろんな「知識そのもの」よりも、その「学び方」に関することですね。
「物事の教わり方」を知ることは自分自身を成長させる大事な力となるのです。
物事の教わり方を知らない人を「教えてくん」と呼ぶ。
何か技術や知識をもった人や、なにかのプロフェッショナルの方と話をすると、よく話に上がるのが「教えてくん」は困るよねぇという話題。
プロはみんな努力で得た技術や知識を使ってお金を稼ぎ、生活をしています。
そしてそこまで到達するのにかかる労力や時間の価値を知っています。
そんな人に対して、「教えてくん」はその知識の中心となるようないいところだけをノーリスクで教えてもらおうと思っているムシのいい人です。
ぼくが今まで出会ってきたプロの人たちは、それぞれが得た知識や経験を次世代につなぎたいとか、教えてあげたいと思っている方が比較的多いように思います。
しかし、その気持ちを無駄に蹴散らすのが「教えてくん」の態度。
「なんでお前に教えないかんのや」とか「こいつに教えても無駄だろうなぁ。」と思ったとたん、価値のある情報を教えようという気は一気に無くなりますよね。
「教えてくん」は教える側のやる気を失わせ、学びの機会を逃し、計り知れない損をするということを知っておかなければなりません。
「教えてくん」の特徴
- 挨拶もなにもなしに、○○について教えてください。なんてメールをいきなり送ってくる。
当然自己紹介もなし。 - 簡単なことも自分で調べない。
- やってみたいんだけど、どうしたらいいですか?なんて聞いてくるから懇切丁寧に教えるのに、聞いたことを実行に移さない。
- 何で詰まっているか問題点を明らかにせず、漠然とした質問をする。
- 教える人間のことを考えず、無礼である。
- うまくいかないとすぐにふてくされる。
そもそもこういうことを平気でしてしまう「教えてくん」は、練習を積み研究してきた人たちに対する敬意や感謝を持たず、その情報に価値があることをまったく理解していません。
「教えてくん」エピソード
ぼくもフットバッグというスポーツは結構な時間をかけて研究してきました。
技術だけじゃなく、フットバッグ自体も自分で縫って作ろうと思って、大学生のころには使いやすいフットバッグを研究するため手芸店をはしごしたりもしていました。
当時は本当に何も情報が無かったので、バイトしたお金で片っ端から使えそうな布や中身になりそうな材料を買ってはフットバッグを縫い、使って試しては改良するという日々。
1個縫うのに3〜4時間ぐらいかかっていたので、新しく作って試してみたら全然ダメだったときのがっかり感といったらもう・・・。
しかし時間をかけて研究した結果、ある程度製品として成り立つようになり「henmobag(へんもばっぐ)」として注文販売できるようになって、たくさんのプレイヤーに使って頂いていました。
「教えてくん」登場。
するとあるとき、こんなメールがきました。
「自分でフットバッグを作りたいんですけど、生地と中身って何?」
名前も名乗らない、アドレスとこの本文だけのメール。
なんて大学生のぼくは思っていましたが、無視するのも無礼なメールを送るのも相手と同レベルになると思ったので、丁寧な文面でお断りのメールを送ったらそのまま返信無し。
なんて時間も労力も消耗したのを覚えています。
若かったなぁ。
「教えてくん」から学ぶ、物事の学び方
さてさて、この一見腹の立つ「教えてくん」ですが、この人はこの人で大事なことを教えてくれています。
「教えてくん」を観察すると、教える側からいい情報を引き出したり、もっとこの人に伝えたいと思わせる方法がわかりますね。
そうです、「教えてくん」の逆をやればいいんですね。
- まずはちゃんと名乗り、挨拶をする。
- プロはとても長い時間と努力をしてその情報を得たということを常に考えておき、敬意を持って接する。
- 最初から全部教えてください!じゃなくてまずは自分で調べる。
- 何がわからないか、どこで詰まっているのかを整理しておく。
- 教わったことは実行に移す。
- 道具を買う場合は、自分で調べるのは大切だけど相談前に勝手に買わない。
プロに何を使えばいいか確認してから買うようにする。
この要素をおさえておけば自分で情報を集めて成長することもできるし、また道を歩む途中でいい指導者に出会ったときに、そのチャンスをモノにする可能性が高くなります。
この人にはちゃんとしたことを教えたい、と思わせたらもう半分勝ったようなもの。
あとは教えてもらった情報をきちんと整理し、実行に移していくことで成長スピードが飛躍的に高まるわけです。
当たり前といえば当たり前なのですが、ちゃんとするのはなかなか難しいことですね。
楽をしたくなる気持ちを抑えて、「教えてくん」にならないように気をつけていきたいものです。