こんにちは、お坊さんブロガーのへんも(@henmority)です。
みんな気になるお布施の問題。
お坊さんって税金かからないんでしょ?
坊主丸儲けなんでしょ?
こんな声をたくさん聞きますので、今日は実際にお寺に預けていただいたお布施がどのように使われているのかを紹介しますね。
タップできる目次
お布施は住職のポケットマネーじゃないよ。
お坊さんが檀家さんのお葬式や法事などを勤めた時に「お布施」としてお金をお預かりします。
このお金はどこへいって、どうなるのでしょう?
お布施はそのまま住職が自由に使えるポケットマネーになると思っている方も多いのではないでしょうか?
お布施を使って高級外車に乗って、飲み屋で遊んで・・・とまでは言わないまでも、「住職はお布施を好きなように使って生活している」というようなイメージを持ってる方もおられるかもしれませんが・・・
ぶぶ〜っ、不正解!!
頂いたお布施は住職が個人的に自由に使えるわけではありません。
お布施は宗教法人の会計に入ります。
檀家さんからお預かりしたお布施は通常お寺の法人の会計に収入としておさめられます。
お布施を法人会計にいれずに個人で好きなように使っていたら間違いなく税務調査にひっかかります。
ですので昭和の時代ならいざ知らず、今は住職がお布施をそのまま好きなように使えるなんてことはありません。
ひとまず法人のお金としてお預かりして集計したあと、仏教を伝えるという役割をはたすための法人の運営費用として使われるのです。
お寺を運営するためにかかってくる出費は、一般の会社とはちょっと違うと思いますので大雑把にですが紹介しますね。
お寺の運営にかかる出費いろいろ
建物の維持費
一番大きな出費はやはり本堂や建物本体の維持費用でしょう。
何十年かに1回程度補修やメンテナンスするとしても、建物のサイズが大きいのでなかなか大変です。
通常の工務店では施工できないような作りのお寺の場合、宮大工さんにお願いしたりすると多額の費用がかかります。
▼いろんなところが突然壊れたりしますしね・・・。
ん〜本堂に上がる階段が割れた…😥
修理大変だ💦 pic.twitter.com/i6uHe9Lbhv— 三原貴嗣(へんも)ブロガー住職 (@henmority) 2017年2月6日
法要費
お寺は仏教を伝えるために法要を執り行います。
こんな感じでお勤めや法話をしてお参りいただく方に仏教を伝えます。
▼特に住職継職法要などの大法要では多くのお坊さんに出席していただくのでお布施の用意も必要ですし、お参り頂く参列者の記念品などさまざまな費用が必要になります。
賦課金
また〇〇宗〇〇派ということを名乗るのであれば上部組織への賦課金(上納金)が必要です。
これは宗派によって仕組みが違っていて、各宗派で規定してある規則にそって金額が決められます。
お寺の格や檀家数、僧侶としての身分など、計算基準として何を指標にするかは宗派によって違います。
これが毎年けっこうな額必要です。
法衣や法具
そんなに頻繁に買い換えるようなものではありませんが、七条袈裟や五条袈裟などの袈裟や法衣も必要です。
▼これも普通に「は〇やまでスーツを買う」みたいな金額では買えませんし、絹製品ですのでクリーニングや修繕にも費用がかかります。
また本堂で使う仏具も特殊な製品ですので、道具自体の値段が高価なものが多いです。
通常の運営費
通常の運営費用としては、本堂や施設を使うお寺の水道代や電気代、本堂のお花や掃除用具などの消耗品の費用が必要ですね。
他にも檀家さんのところへお参りに行く交通費や、冬場だと法要中の本堂の暖房費用などもお寺の運営に必要な費用です。
経費として使えるのは宗教活動に関して必要なものだけ
このように、基本的にお寺の宗教活動に関して必要なお金のみを経費として扱うことができます。
必要経費を寺院の運営費用として計算し、またお寺の修繕費用などの積み立て金も取り置いて、その残ったお金から住職や役僧の給与をだすことができます。
住職は給料制だよ
住職のためのお金は宗教法人の会計から給与という形で支払われます。
法人から個人に給与が支払われれますので、このお金には所得税がかかり源泉徴収されるんですよ。
当然ながら社会保険料も支払うことになりますし、市民税や住居部分の固定資産税などもかかります。
まぁ要は、普通に給料をもらって仕事をしている人と変わらないということです。
そうですね…感覚的に一番近いのは学校の先生でしょうか?
学校法人は法人税等の優遇があるけど、そこで働く先生の給料には税金がかかるというのと一緒です。
だからお坊さんは無税というのは適切な言い方ではないんですよね。
住職の生活費は給料の中から
そうやって源泉徴収したあとの給料の中から住職の家族の生活費はまかなわれます。
お布施を法人会計に集計せずにそのまま個人の生活費や趣味に使っていると、税務調査を受けた時に間違いなく追加徴税されますからね。
それに法人を運営するというだけでも相当費用はかかりますから、将来的な展望を見据えてお寺の財政をマネジメントすることも大事です。
お寺も今は管理する人のいない無住の寺も多く、経営が成り立たず潰れてしまうお寺も増えています。
ですから計画もなしに住職個人がお布施を総取りして自由に生活費や遊興費にするなんてありえない話です。
そんなことをしてたら信用も失うし、普通に経営がうまくいかないでしょうね…。
うちではお預かりしたお布施はすべて法人の会計にいれて、オンライン会計ソフトfreeeを使って管理しています。
お布施はどのように使われているのか?まとめ
お寺によって規模も運営形態も全然違いますから、ここで書いたことは「参考程度に」ということにはなります。
ですが法人会計でお寺の運営費をまかない、住職は給料制、そして住職の家族の生活費はその中から使うという形は基本的にはどこも同じです。
「お寺」とひとくちに言っても、法人の年間の総収入が100万を切る(年間ですよ!)ようなところから億を超えるようなところまで様々です。
これは一口に「会社」といっても社員3人ぐらいの中小企業とトヨタやソニーのような企業では規模が違いますし、それぞれの会社で「社長」の意味も所得も違うというのと一緒です。
高級外車に乗って、飲み屋街で遊びまくって・・・という人がお坊さんの中にいないとはいいませんが、実際問題そんなことをしている僧侶の数はかなり少ないと思います。(少なくともぼくの知る周辺の人では)
坊主丸儲けという言葉が1人歩きして誤解も多いですが、お寺に出していただいたお布施はこのような流れにそって使われています。
お寺の会計をする時に、エクセルでデータを管理するのはかなり大変ですよね。
他にも市販の会計ソフトを使う場合もPCが壊れたりデータがとんでしまうリスクがありますよね。
そこでオススメなのがオンライン会計サービス。
うちでは会計ソフトfreeeを使っています。
ほかにもマネーフォワードや弥生会計 オンラインなどどれを使ってもいいでしょう。
どのサービスも無料体験期間があるので、試しに使ってみて使いやすいものを選べばよいと思います。
どれもクラウド上にデータがあるので、お寺のパソコンが壊れたとしてもデータは保存されています。
業務効率化のために試してみてください。