住職の退職金ってどうなっているの?金額はどうやって算出するの?

お寺の住職は退職金がない、そう思っている住職は多いと思います。

基本的にお寺の住職は一生現役。

死ぬまではたらき続けることができますが、それは病気もなく体が元気であればという話です。

年をとって事故や病気で働けなくなってしまったとき、生活をするお金の問題はどうしますか?

また、後任の人に住職をゆずる場合など、引退後の生活費のために退職金を考えておくことは非常に重要です。

今回はお寺の運営の中でもあまり考えられていない住職の退職金について調べてみました。

住職に認められている退職金

お布施の使い道の記事でも書いたとおり、お寺というのは「宗教法人」という法人格がありますので住職の個人財産とお寺の財産管理は区別して扱います。

いわゆる会社などと同じですね。

ですから法人の財産をそのまま個人のものとして使うということはできません。

ルールにのっとって法人の財産の中から住職の功労に対して退職金を支払うことができます。

役員退職金の税務上適正額の目安

退職金の金額を決めるにはいくつか方法があるようですが、一般的に次の計算式を用いることが多いようです。

退職金の水準

「最終報酬月額」×「役員在任年数」×「功績倍率(功績に応じ1.5~3.0倍)」=「退職金水準」

この額までは法律で退職金として受け取ることが認められています

ですので例えば最終の給与が30万円でそれまで40年住職を務めた場合

最終月収30万で40年働いた場合

「30万円」×「40年」×「3.0」=「3600万円」

この場合、3600万円まで宗教法人から住職個人に退職金を支払うことが認められます。

これは上限ですのでこれより少なく算出するのは問題ありません。

給料ではなく退職金を受け取るメリット

退職金には3つのメリットがあります。

  1. 退職所得控除がある
  2. 2分の1課税になる
  3. 他の所得と一緒には課税されない

退職金は他の給与や所得と分離して税金が計算されます。

ですので退職金という形で報酬を受け取ることで税金額の面でも非常に有利に受け取ることができるのです。

では実際に税金がどのぐらいになるか具体的に見ていきましょう。

退職金にはどのくらい税金がかかるの?

退職金にかかる税金

(「退職金額」-「退職所得控除額」)÷2×税率(分離課税)-控除額=退職金にかかる税金

勤続年数 退職所得控除額
20年以下 40万円×勤続年数(最低80万円)
20年以上 70万円×(勤続年数-20年)+800万

平成29年分所得税の税額表〔求める税額=A×B-C〕

A 課税退職所得金額 B 税率 C 控除額
1,000円から1,949,000円まで 5% 0円
1,950,000円から3,299,000円まで 10% 97,500円
3,300,000円から6,949,000円まで 20% 427,500円
6,950,000円から8,999,000円まで 23% 636,000円
9,000,000円から17,999,000円まで 33% 1,536,000円
18,000,000円から 39,999,000円まで 40% 2,796,000円
40,000,000円以上 45% 4,796,000円

国税庁HPより

つまり、先ほど例にあげた最終給与が30万で40年働き、最高額3600万円の退職金を受け取る場合を考えると

平成29年版月収30万で40年、3600万円の退職金の税金
[3600万-{70万×(40-20年+800万)}÷2×税率23%]-636,000円=974000円

これに復興特別所得税2.1%が上乗せされるので

974000+974000×2.1%=994,544円(所得税額)

となります。

これに課税退職所得(ここでは700万円に対して) 市民税6%42万円と県民税4%28万円がかかります。

それらをあわせて退職金にかかる税金の合計額が1,694,544円手取り金額は34,305,456円となります。

これは平成29年の税制を基準に例として計算したので、税制が変わった場合にはご注意ください。

状況に応じていろいろなケースがあるので、詳しいところは税理士紹介エージェントなどを利用して税理士さんに相談するのがいいかもしれませんね。

また5年以下で住職を退職する場合は退職所得を2分の1にする取り扱いは適応されません

住職の退職金まとめ

今までお寺の住職の退職金をどうするかというのは考えられてきていませんでした。

ここで書いておきたいのは「今働いている住職が退職金を受け取る」という短期的なものの見方ではなくて、次の世代の人も安心してお寺を引き継ぐ「仕組みづくり」をすることがお寺を永代に渡って維持していくために重要なことだということです。

寺院の消滅、後継者不足という背景には、やはりそのお寺を引き継ぐ人が安心して生活できるだけの経済的基盤や仕組みが整備されていないというのも問題点の1つ。

お寺を引き継いできちんと生活していけるのだろうか?

年をとって病気になったとしてもやっていけるのだろうか?

そんな不安を抱えながらでは、いくら大事な事だとわかっていてもあとを引き継ぐ人があらわれないのも無理もありません。

仕組みを整えることで、世代を超えてお寺を維持していけるようにすることも寺院の運営に必要なことだと考えています。

退職金規程のフォーマット議事録のフォーマットはこちらに置いておきますので、総代さん他役員のみなさんも含めて検討してはいかがでしょうか?

またうちのお寺ではどのようにその資金を準備しているかは次のページで紹介しています。

こちらもあわせてご覧頂ければお役に立てると思います。

→宗教法人が保険を利用して修繕費や退職金を準備するメリット

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このブログを書いている人

真宗興正派善照寺というお寺の住職をつとめながら、一方ではフットバッグというスポーツで4年連続日本一を継続中。

真面目なお寺の仕事からステージでのパフォーマンスまで、幅広い活動を通して学んだことをわかりやすくお届けしていきたいと思っています。

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