沈香(じんこう)って何?香り高い貴重な香木ができるまでの秘密

お香

こんにちは、お坊さんブロガーのへんも(@henmority)です。

お寺の世界では線香焼香塗香とたくさんのお香を使うのですが、お坊さんでも正直その原料のことやどうやって作られているのかなどはわからないことも多いんです。

▼そこで、OIKAZE〜灯心草〜というお香をプロデュースしたこともあって、もっとお香のことも勉強するべくお香の専門家、岩佐喜雲さんに香木について教えてもらってきました。
沈香を抱える岩佐喜雲さん

今回は香木の中でも一番重宝される沈香(じんこう)について詳しく教えてもらったことを記事にまとめました!

沈香(じんこう)とは

沈香とは香木の一種で「じんこう」と読みます。

浄土真宗のお寺では主に焼香の時に使われますね。

▼日常生活では触れることはほとんどないと思いますが、目にするとしたらこういった沈香を刻んだものでしょう。
焼香用沈香の刻み

沈香は常温ではあまり香りがしませんが、熱したとたんとてもよい香りをはなつ香木です。

沈香はどうやってできるの?

沈香はもともと木なのですが、その木自体が最初からいい香りがするわけではありません

ジンチョウゲ科アキラリヤ・マラヤ属の木の一部が変質して偶然できあがるものなのです。

▼沈香のもとになる木の写真(写真提供:岩佐喜雲さん)
沈香のもとになる木が生えているところ

香木の中でも白檀は木そのものが香るのですが、沈香となる木は木自体からは何の香りもしません

そのままではただの木なんですが、木に傷がついた時に木の樹脂がその部分に集まっていくという特別な変化が起こります。

そしてその中でも樹脂がうまく凝縮して変質した部分だけが沈香(じんこう)になるそうです。

沈香の原木

▼左半分はただの木の状態が残っていて、右半分が沈香化した原木の写真です。(沈香部分の価値は約80万円!!)
沈香の原木写真

▼白い部分はただの木なので何の香りもしません。
沈香化していない部分の写真

▼黒い部分はうっすらと香りがして、削って熱するとめちゃくちゃいい香りがします。
沈香になった部分の写真

沈香ができるまでにはすごい年数がかかる

沈香ができるためにはすごい年月がかかります。

まず木が育つのに20年

その中から沈香に変質するのに30年〜100年かかるといわれています。

長い時間をかけて自然が作り出した希少なものなので、取引される値段も高くなります。

沈香がとれるまで

長い年月をかけてできた天然の沈香は、産地の川や池などの水の中に沈んでいたり、山の中に埋まっているのを掘り起こして産出されます。

沈香のもとになる木が倒れたあと、水の中や土の中で虫が食べたり微生物によって木の部分はなくなってしまいます

▼水の中や土の中だと白いただの木の部分は食べられてなくなります。
沈香の原木写真

木の部分はなくなってしまいますが、樹脂が凝縮して沈香になった部分は虫も食べられないため水や土の中にそのまま残ります

とても安定的で変質しない物質になるんですね。

その固く樹脂の塊になったものを掘り起こして香木として利用するのです。

▼沈香にならなかった部分はなくなってしまい、樹脂が凝縮した部分だけが残った沈香の原木(約120万円!!)
沈香の原木写真2

沈香の産地

沈香の木は熱帯地方に生える木ですのでとれる地域が限られます。

沈香の産地
  • ベトナム
  • インドネシア
  • タイ
  • マレーシア
  • カンボジア

など

よく目にするのはインドネシア産とベトナム産。

インドネシア産はタニ沈香

ベトナム産はシャム沈香という名前で売られています。

タニ沈香の方が辛みと苦みのある香り、シャム沈香のほうが甘みのある香りですかね。

ぼくはシャム沈香の香りの方が好きです。

他にもカンボジア産やタイ産、マレーシア産などがあります。

ひとくちに沈香によっても等級・産地によって香りはものすごく差があります

香りの違いを試して見たい方は産地や種類別に18種類の沈香の香りを試せるセットもありますのでトライしてみてください。

沈香の習い解説書

人工的に沈香を作る方法

沈香は貴重で資産価値が高いので、沈香の産地ではわざと木に傷をつけて人工的に沈香を作る方法もあるそうです。

人工の沈香の見分け方

人工の沈香は木にドリルで穴をあけて傷をつけて放置するという作り方。

▼ドリルの穴があいているのは人工的に作ろうとした沈香だそう。人工沈香の加工穴あとの写真

人工的に作った沈香もちゃんと沈香になっているものもあるけれども、その品質にはばらつきがあります。

一応沈香にはなっているけれども樹脂の凝縮が弱くて香りが薄いものも多いそうです。

お坊さんがインドなどに行って、現地スタッフなどに勧められて買う沈香や伽羅は人工の沈香を売られている可能性が高いとのこと。

▼人工の沈香でも品質のいいものはありますけどね〜とみせてもらった人工沈香の原木。(約100万円!!)
人工沈香の原木

▼沈香になった部分以外が分解されてすごい造形に。
人工沈香の原木拡大図

そこで、ふと思い出したことがあるんですよ。

へんも

ん・・・?

昔インドで伽羅を買ったぞ・・・?

と。

インドで伽羅(きゃら・沈香の特級品)と言われて買ったお香

昔、ぼくもインドに仏跡をめぐる旅に行ったことがあるんですよ。

その旅の途中でガイドさんにすすめられて伽羅(きゃら・沈香の特級品)を買ったことがあるんです。

ガイドさん
コレ、メチャメチャ イイ キャラ!!
純粋だったころのへんも
伽羅って高いでしょ?買えないですよ〜。
ガイドさん
ソンナニ タカクナイ!

カオリ スゴーク イイ!

ガイドさん
コンナ オトクナネダンデハ ナカナカ カエナイ!
純粋だったころのへんも
そっかー。

たしかに香りもいいし、記念に買って帰ろうかなぁ

と思ってちょっと奮発して旅の記念に買ったんですよね。

▼使って減ってますけど、この袋にいっぱいでたしか2〜3万円だった気がします。

袋からお香を取り出してよく見てみると・・

▼おい!めっちゃドリルの穴が開いてるやんけ!!

そっか〜人工の沈香だったか〜。

いやはや、香りはいいし旅の思い出になってるし、香りもいいし・・・

と自分を納得させつつ、購入から10年たって知る衝撃の事実。

インドで伽羅といわれて買ったお香は人工の沈香だった!!

沈香まとめ

本当になんとも言えない良い香りがする沈香

沈香の香りには沈静効果があると言われ、戦国時代の武将は戦に望む高揚した気持ちを抑えるために兜や鎧にたきしめたとも言われます。

ぼく自身もめちゃくちゃ好きな香りですし、ぜひ一度はその香りを体験してみてほしいですね。

焼香用で市販されている刻みのものはほとんど本物ですが、原木や数珠、仏像などに加工されたものを買う時は要注意してください。

価格も高く、資産価値があるため偽物も多くでまわっています

有名なデパートなどで売っているのに本物の沈香ではないということもあるようで、入手ルートが信頼できるお店以外で購入すると悪意はなくても偽物をつかまされる可能性も高い商品です。

とくに沈香の中でもさらに樹脂が凝縮した特級品の伽羅ともなると、原木は何百万にもなります。

偽物を買ってしまった時の損害はとても大きくなりますので、購入される際は気をつけてくださいね。

つぎの記事では本物の沈香と偽物の沈香を見分ける方法を紹介しますよ。

岩佐さんから詳しくお香の講習を受けたい方は講習会もありますので参加してみてくださいね。

沈香の香りを手軽に楽しみたい方へ

香木は高すぎるよ!と言う方はお線香で香りを楽しむという方法もあります。

ちなみに沈香を使った線香でぼくのおすすめは山田松香木店の縹風というお線香。

沈香をたいた時とまったく同じ香りというわけではありませんが、おちついた沈香の香りとスッとさわやかな残り香が楽しめます。

最近気に入ってるお線香です。

こちらもいかがですか?