こんにちは、アスリートお坊さんブロガーのへんも(@henmority)です。
僧衣での運転が交通違反となった福井県の事件にはじまり、Twitterでバズりにバズって大きなムーブメントとなった#僧衣でできるもん。
あまりにも多くの方に情報が拡散され、こちらの意図を超えた範囲まで広がってしまったので誤解も多く発生しています。
Twitter上では文字数の問題もあるので、今回の#僧衣でできるもんムーブメントの流れや意見を整理し記事にまとめました。
ことの発端は福井県の僧侶が僧衣での運転中青切符を切られたこと
僧侶界に震撼が走ったのは読売新聞の記事がきっかけでした。
ぼく自身もこの記事を読んだだけで、実際にこの男性僧侶がどのような僧衣で運転していたのかの確認はとれていません。
ただ、僧侶が一般的に移動で着用する衣服が取り締まられたと仮定した場合、多くの僧侶や和服で仕事をされる方に支障がでることが予想されます。
▼こんな感じ。左右が僧侶の服装(=僧衣)、真ん中は噺家さんの着物です。
言うまでもないことですが、法令遵守は当たり前のことです。
法令で決まっていることで罰則を受けるのなら当然のこと。
ただ、実際リスクがあるなんて考えもしないぐらいほとんどの僧侶が僧衣で運転している状況で、1人の警官の個人裁量で僧衣が理由で取り締まり対象となったことに驚いているのです。
そのことを前提として読み進めていただけると幸いです。
法律にはどう書かれているの?
車の運転に関する法律道路交通法には運転者の遵守事項としてこのように書かれています。
第七十条 車両等の運転者は、当該車両等のハンドル、ブレーキその他の装置を確実に操作し、かつ、道路、交通及び当該車両等の状況に応じ、他人に危害を及ぼさないような速度と方法で運転しなければならない。
(罰則 第百十九条第一項第九号、同条第二項)
(運転者の遵守事項)
道路交通法
ハンドルやブレーキを確実に操作して他人に危害を及ぼさないような速度と方法で運転することがもとめられますが、道路交通法の中には細かい規定はありません。
大枠が道路交通法で決まっていて、そのあと各県の交通規則によって詳細が定義されているということですね。
道路交通法施行細則
例えばうちのお寺がある香川県の場合はこのようにかかれています。
第20条
(6) げた、サンダルその他運転操作に支障を及ぼすおそれのある履物を履いて自動車又は原動機付自転車を運転しないこと。
香川県道路交通法施行細則
香川県では履き物については記載がありますが、衣服に関しては特に規定はなさそうです。
げた、サンダルは明確に書かれていますがその他の履き物はどれがダメでどれが良いかは書かれていません。
ここらあたりが現場での判断ということになるのでしょう。
他にも大阪ではこのように書かれています。
第13条
(4) げた又は運転を誤るおそれのあるスリッパ等を履いて、車両(軽車両を除く。)を運転しないこと。
2 運転者の遵守事項(第13条関係)
(1) 第4号は、げた及び運転を誤るおそれのあるスリッパ等の履物を履いて自動車等を運転することを禁止したものである。ここにいう「スリッパ」は、かかとをとめる装置がなく運転中足に定着しないため脱落しやすいことから運転を誤るおそれがあると認められるものであるが、通常、運転を誤るおそれがあると認められる履物には、このスリッパのほか、サンダル(わらじ式のものを除く。)、つっかけ草履等があり、いずれも足に対して定(密)着性を欠き、その形状、性能から運転操作の過程において脱落等の不安定な状態が起こり、運転を誤るおそれがあると認められる。しかし、どの履物がこれに当たるかは、当該車両と履物について個別に判断しなければならない。 なお、
草履等については、鼻緒があり、底が比較的薄く平らで、柔軟性があって足に定着し、しかも形態も特異なものでなく、運転操作の過程で脱落する等運転の妨げとなるおそれがないものであれば、これに含まれないものとする。
おや?
僧侶の雪駄はサンダルに類するものとしてダメと判定されるものと思っていましたが、大阪府の細則を見る限り雪駄は別に法的には大丈夫なんじゃないの?という感じですね。
おそらくこの大阪府の規則の場合、雪駄が特異な形状とは考えにくいと思いますので、大阪ではたぶん大丈夫なのでしょう。
また宮崎県の細則にはこのような画像がありました。
(宮崎県道路交通法細則より画像引用)
この画像を見る限り僧侶の履く雪駄は問題とならないと判定される可能性が高いということですね。
地域によって差はあると思いますが、条例上の判断としては「サンダル」が意味する履物は上の図の2のような形状で、鼻緒のついたものは含まれない感じです。
下駄の場合は鼻緒がついていますが、底面の形状がダメということでしょう。
今回のも雪駄を注意されてたのなら、それは納得なのです。
和服や長いスカートで車に乗る方もおられる中、「裾や袂が問題」という不明瞭な切符の切り方はフェアじゃないよね?という疑問を穏やかになげかけているのです。
これでいいだろ!と開き直ってこんなことをやっているのではないのです(^^;)
— へんも@ブロガー&足技で日本一の住職 (@henmority) 2018年12月31日
ぼく自身もこう考えていたので、これは今回改めて調べて確認し学ばせていただいたところです。
より安全に運転するために靴に履き直すのがいいという意見はもちろん当然だとは思いますが。
一応できる範囲で法律を引用し、理解しようとしていますが法の専門家ではありませんので解釈に間違いがあるかもしれません。
もし弁護士やその他専門の方でこの記事の法解釈が間違っていたらご指摘をお願いいたします。
道路交通法細則で衣服について規定のある県
さて、今回の件がとりあげられた福井県ではこのように書かれています。
第16条
三 下駄、スリツパその他運転操作に支障を及ぼすおそれのある履物または衣服を着用して車両(足踏自転車を除く。)を運転しないこと。
履き物の規定だけでなく衣服についても記述がありますね。
このように衣服に関する規則があるのは全国で15都道府県。
岩手県など和服の袂について書いている県はありますが、たすき掛けをして袂を処理している場合は運転可能と書かれています。
膝下の裾が問題にされている細則はみつけられませんでしたし、僧衣がダメという明確な規定はどの県にもありませんでした。
記事には「基準は明確ではない」とされているので、上記の県では僧侶にとって通常の服装であり、業務に必要な服装を交通違反として取り締まられる可能性があるということです。
Twitterでは履き物についてコメントも多かったですが、今回の福井の事件は履き物が問題とされたのではない点も注意しておきたいところです。
Twitterに#僧衣できるもん誕生
僧侶たちはこの事件や規則がどうなるかは別にして、僧衣が運転に支障があるとは考えられないということを伝えてみようと考える人が現れます。
一般の方は和装の着物も僧衣もすべて一緒に考えておられると思いますが、実際着ている立場からすれば運動性能はかなり違うといわざるをえません。
実際に毎日僧衣を着ている立場から、運転上僧衣に問題があるとは思えないという感覚を多くの方にアピールしようという動きがはじまりました。
おそらく最初の投稿は麻田弘潤さん。
僧衣でリップスティックに乗る動画を投稿して僧衣での運転に支障がないという動画を投稿されました。
僧衣を着ててもこんくらい出来るので、車の運転で僧衣が邪魔になることはないのです。#僧衣 #法衣 #僧侶 #お坊さん #リップスティック #安心安全の僧衣 #パジャマより気楽に着れちゃう pic.twitter.com/bFnjmVgxYV
— 麻田弘潤 (@gokurakusan) 2018年12月30日
そしてその投稿をみた横山瑞法さんが#僧衣でできるもんというハッシュタグをつけ、僧衣で2重跳びをする動画を投稿しました。
あった。
回数微妙ですが二重跳び。#僧衣でできるもん pic.twitter.com/heMgVnv1wM— 横山瑞法(Zuiho Yokoyama) (@zuiho_yokoyama) 2018年12月30日
ここで#僧衣でできるもんのタグが生まれるわけですね。
このタグを見て急いで動画を撮ったのが弟で副住職のとっしゃん。
運転に支障があるとの事ですが、お坊さんの衣は足もちゃんと動きますよ。
#僧衣でできるもん pic.twitter.com/PVb1jepZQP
— とっしゃん@お坊さん大道芸人 (@tossyan753) 2018年12月31日
時を同じくしてぼく自身も動画を撮って投稿しました。
これだけできるんだから、運転ぐらい困ることはないよね。#僧衣でできるもん pic.twitter.com/TneoRtCNMD
— へんも@ブロガー&足技で日本一の住職 (@henmority) 2018年12月31日
誤解をされる方も多いので説明しておきます。
ぼく自身はパフォーマーとしてステージにでることはありますが、普段この僧衣でパフォーマンスをすることはありません。
ただ、今回の件がそのままひっそりと認められて違反対象になった場合、全国の僧侶と仏教会は大きな不利益をこうむることになります。
その事実を多くの方に知ってもらうPRのためにTwitterの広報力と性質を活かすこれ以上ないタイミングですから利用しただけのことです。
その後、バク宙を披露していただいた方もおられましたが、大変な量のコメントが寄せられてかなり傷ついておられたようで動画を削除されておられます。
実際に運転に支障があるかどうかの検証のため写真を投稿していただいたのが吉井直道さん。
僧衣で車を運転すると危険?
皆さん気になる
袖はどうなるか問題こうなります
(※エンジンを切って撮影してます恐らく一般の方の想像より、袖は手首や腕についてきません
他の方の投稿で僧衣の動きやすさは伝わったと思いますので足は省略
(※運転中はもちろん靴はいてます#僧衣でできるもん pic.twitter.com/51TvrLUnTg— 吉井直道 住職【苫小牧 正光寺】🐟BARで話せるお坊さん (@jikido_yoshii) 2018年12月31日
実際に運転するときの状況を写真にとって投稿してくれています。
警察官の方はもちろん、一般の方も「僧衣を実際に着た感じ」がわからないのは当たり前のことです。
ただ、イメージで危ないといわれても法律に規定されてないのですから誰にもどうしようもありません。
実際に着ている側は特に支障を感じていないことをおもしろくアピールする以上の意味はありませんでした。
デビルスティックも・・・!
話題なので・・! 衣でも十分動けますし、運転になんの支障もありゃしませんw ついでにジャグリング納めです・・!#僧衣でできるもん pic.twitter.com/F1b8qemYeO
— てつっていう (@detteiu1109) 2018年12月31日
その後、いろんな僧侶の方が動画を投稿したり、数多くの方が関心をもってくださりものすごいリツイートがうまれることになりました。
webメディアのねとらぼさんでも記事がとりあげられ、Yahoo!ニュースにも掲載されるムーブメントとなりましたね。
投稿時期が新年ということもあって、だんだん風刺的な意味よりも新春かくし芸的な受け取りで楽しんでくれている方がたくさんでてこられました。
それで正解です。
#僧衣でできるもん というタグ、本質は僧衣で運転してたら違反切符切られた、という事象に対して「法の恣意的解釈はおかしい!」という意思表示をユーモアを交えて発信してるものなのに、「できる」事が余りに多岐に渡っているせいでタイミングも相まって完全にお坊さんの新春かくし芸大会。
— たくる (@sinotaku) 2019年1月2日
僧衣で色々なことができるというよりも、お坊さんのスーツ、いわば正装で運転していただけなのに、違反切符を切られたという、解釈を間違えた方へのメッセージ。でもお坊さん達がここぞとばかりに多彩を披露し、呟いて、更に決して人を責めないというのが本当に素晴らしいと思う#僧衣でできるもん
— おるたな@日本無理め女の週末弾丸旅と音楽。38/50記事 (@aratakid7) 2019年1月2日
キリスト教の牧師さんもツイートしてくださりとてもほっこりうれしく感じましたね。
あ、あの、私キリスト教の牧師ですけど、この服装で火葬場まで運転することありますよ。僧侶の皆さまが例の件で立ち上がるならば私も連帯させていただきます‼️ #僧衣でできるもん pic.twitter.com/QP61o5gpNs
— 金子敏明@牛久教会牧師 (@pastorkanegon) 2019年1月2日
2019年1月3日現在、まだ投稿は増えているので#僧衣でできるもんを最初から見ていただいたら流れがわかるかと思います。
確認のために書きますが、#僧衣でできるもんは、今回の取り締まりをした警察官の方を個別につるし上げて批判する目的ではないのです。
該当の福井の警察官の方も、ご自身の県の細則にのっとり判断をしたわけですから警察官が判断したこと自体を批判しているのではありません。
この取り締まり自体が有効であると認定されると、明確な基準がないのに個別の警察官の主観で自由に取り締まりができるようになる点が良くないんじゃないの?ということを楽しく問題提起しているのです。
多くの方に知ってもらえた、という点でかなり良い成果になったと感じています。
規則ができたらもちろん従うよ
本意が伝わってない方も多いので何度も書きますが、われわれ僧侶も遵法精神にのっとって活動しています。
きちんと運転技能に対して僧衣が危ないかどうか実証的な検証をして、僧衣で運転は法律的に全部ダメとなったら多くのお坊さんはそれに従うはず。
たぶん服装のほうを改良することになるでしょう。
ですからこの服装に関する基準を作るなら作るでいいんだけど、ただ危ないと思うってイメージで取り締まられるとたまったもんじゃないよということを提言しています。
今回の件で記事を読む限り「僧衣がすべてダメというわけではない」なんて言うから余計ややこしいんですよね。
僧衣がすべてダメというのならそれで一旦話は決着し、公的に宗派や仏教会から細則の見直しを求める提案書を出して細則の文言を検討してもらう話となります。
しかし、決まりがないのに同じ宗派で同じ服なのに取り締まられたり取り締まられなかったりするのはおかしくないですか?
この問題は警官が個人的に法の解釈をして、しょっぴいたりしょっぴかなかったりという判断基準が不明確なところが問題なんです。
法の恣意的な運用は困るよということですね。
それがわかった上で、風刺には「おもしろみ」がないとね(σ´・ω・)σ#僧衣でできるもん
— へんも@ブロガー&足技で日本一の住職 (@henmority) 2018年12月31日
これが認定されると警察官がかなりの裁量を持って衣服を理由に取り締まることができるようになるという点が問題なのです。
これは僧衣だけの問題ではないんです。
一般的な服装(例えばロングスカートや袖の広い服など)でも、警察官が危ないと思ったというだけの理由で取り締まりをされる可能性があるということなんです。
実際僧衣で運転は危ないのか?
今回の個別のケースに関してはどんな服を着ていたのか?が情報がでていないので本当に安全性に問題があるかどうかを検証することはできません。
もしかしたら、何か特別な理由で法要で着るような格好で運転していたケースならそれは確かに問題があるよねと僧侶も考えるでしょう。
▼例えば、葬儀や大きな法要で着用する七条袈裟を着るとこのような状態になります。
この格好で運転することは通常ありえませんが、これはさすがに僧侶からしても運転はダメなんじゃないかなと思いますよ。
かなりごわごわして動きにくいですし、体積も大きいので引っかかる場所も多くなります。
でも僧侶の常識的にはこの格好で移動することはありえません。
通常、七条袈裟は礼装であり法要に使うものですから丁寧にあつかいます。
それに金額的にもとても高価ですので、運転席に座って擦れたり糸が切れるような使い方は通常考えられません。
▼移動するときはこのような格好です。
動画でも動いてみたとおり、足も動きますし袂もハンドルやレバー等の操作に問題があるとは感じません。
僧衣での運転には数の実績がある
文化庁の統計データによりますと、平成28年の時点で仏教系宗教団体の教師数、いわゆるお坊さんは34万人ほどいます。
そのうち何割ぐらいの人が運転するか実数はわかりませんが、仮に6〜7割の人が運転するとしても20万人ぐらいの僧侶が運転していることになります。
地方の僧侶は車や原付の運転なしに全てのお参りに行くことは困難です。
このうち何人ぐらいの人が僧衣で運転をして、その結果事故が起こったかどうかというデータを検証して欲しいのです。
これは感覚的な話でしか言えないのが申し訳ないのですが、僧衣での運転よりは普通の格好の高齢者の事故の方が多いのではないでしょうか?
他の方を巻き込むリスクが考えられないのか!等のコメントをたくさんいただきましたが、それなら○才以上は免許不可とした方が事故は減ると思いますよ。
すると、車がないと生活できないだろ!とか返ってくると思いますが、僧侶にとっても僧衣での運転が制限されると死活問題なのです。
僧衣が運転に適さないと規定されるとどのくらい困る?
一般の方は和服を着る機会は数年に1回という頻度かもしれません。
しかし僧侶にとって、僧衣(われわれの宗派では道服といいます)で移動することや生活を送ることは日常のことです。
この僧衣が違反となると、毎日着る衣服であり業務上必要な衣服が取り締まり対象になることを意味します。
僧侶の仕事は1日に十数件お参りに行くこともあり、分刻みのスケジュールとなることも珍しくありません。
特に葬儀ができた時にはもともと予定していたスケジュールを強引に調整して勤めることもしょっちゅうあります。
そのたびに洋服への着替えを強要されるととても困ります。
着物に比べればかなりカンタンに着替えられるとはいえ、Tシャツを着替えるような手軽さではありません。
移動中はスーツじゃない服に着替えてください!
とか
車にのるたびに現場で着替えてください!
となったらめちゃめちゃ困るでしょ?
同じぐらい僧侶も困ります。
そしてこれは僧衣だけの問題ではありません。
明確な基準がないのに取り締まりができるということは、他の和服はもちろんスカートやニッカポッカとか袴とか、警察官が雰囲気で取り締まることができるということです。
何度もいいますが、今回の件は記事を見る限り履き物が問題になったわけではありません。
袂や膝下の裾が問題とされています。
けれども、その実証はまだなされていません。
実際着てみると僧衣は足が開かないなんてことはありませんよ。
足の周りは布が巻いているだけなので基本的には膝下だけでいえばスカートと同じ構造です。
となると、スカートはいいのになぜ多くの人がこれまで着てきた僧衣はダメなの?という疑問がでてきます。
これを決定するのが現場の警察官の裁量にゆだねられるのです。
実証のないまま着たことのない人のイメージで問題がありそう!ってことを理由に取り締まりはおかしいでしょ?という問題提起なのです。
#僧衣でできるもんまとめ
伝統的な衣服だからと歴史をかさにきて開き直っているわけでもないし、安全運転をばかにしているわけでもありません。
意図としてはこんな感じ。
一休さんが「この橋わたるべからず」って立て札に対して真ん中を通った〜みたいなとんち的抵抗として笑って見てくれたらそれでいいんですけどねぇ。
それ以上の意味はないですし(^^;)#僧衣でできるもん
— へんも@ブロガー&足技で日本一の住職 (@henmority) 2019年1月2日
リスクがあると言われるような衣服ではないことをユーモアをもってアピールしているにすぎません。
「パーカーを着てたから」と警官が黒人を射殺したため、パーカーを着てデモ行進するのがアメリカ。
「袈裟を着てたから」と警官がお坊さんに青切符を切ったため、僧衣を着てバック転やジャグリングを始めるのが日本。#僧衣でできるもん— うみ (@librosombrero) 2019年1月1日
#僧衣でできるもんのタグの感想を読むと、8割以上の方は意図を理解して笑ってくれてますね。
わざわざこんな説明記事を書くことも無粋なのですが、いらぬ誤解も多いので一応解説しました。
#僧衣でできるもん こんなに出来るから禁止するな!危なくない!って抗議じゃなくて「危ないかもしれないから基準を決めるのは良いけどまず僧衣の事も知ってくださいね」ってプロモーションですよね。興味も持てるし楽しくていいと思う。皆さん多彩ですごいです。
— 飴屋 (@incandystore) 2019年1月2日
何度も言いますが、安全運転は超大事ですし、運転を軽んじているわけではありません。
実際われわれ僧侶は檀家さんの葬儀をつとめていく中で、交通事故でご家族を亡くされた方の悲しみに出会うこともあります。
また自分自身も仲良くおつきあいさせていただく檀家さんとの最後のお別れを自分が勤め、何度も別れを経験していくという立場にあります。
人の命を軽んじて、このような運動をしているという誤解はないようにお願いしたいものです。
僧衣は運転に支障ありませんし、ジャグリングや縄跳びフットバッグもできるぐらい動けます。
なんなら読経にも支障ありませんっ!!
#僧衣でできるもん#読経もできるもん#善照寺ブラザーズ@tossyan753 pic.twitter.com/rD2yLS9kHc— へんも@ブロガー&足技で日本一の住職 (@henmority) 2019年1月4日
追記1
海外メディアにも注目される事態となって大変驚いております。
1月4日現在多方面から問い合わせがあります。
いろいろとわかり次第追記いたします。
KSB瀬戸内海放送で取材をしていただきました。
1/26追記
最終的に福井県警からは2019年1月26日にコメントがでました。
県警はこれまで、朝日新聞の取材に「僧衣ではなく着方の問題」と説明していたが、26日に「本日までに切符を切った方を訪れ、改めて県警本部で内容を精査したところ、証拠の確保が不十分で違反事実が確認できなかったため、本件については送致しないこととした旨をお伝えした」とのコメントを明らかにした。
Yahooニュースより(元記事は削除されています。)
1事件の結論としてはこれはこれでいいんですけど、基準の設定という意味ではこれから検証なり議論が必要なことでしょうね。
「安全性の担保」と「便利に使えるレベル」が両立できるような落としどころができたらいいですね😃
— へんも(三原貴嗣)@ブロガー&足技で日本一の住職 (@henmority) 2019年1月26日
3/9追記
結局、福井県の規則の方が改正されることになりました。
福井県内の僧侶が僧衣を着て運転したことを理由に交通反則切符(青切符)を切られた問題で、福井県警は7日、県道路交通法施行細則を改正し、衣服に関する規定を削除すると発表した。同日の県公安委員会で決定し、来月4日から施行される。
現行の施行細則では「げた、スリッパその他運転操作に支障を及ぼすおそれのある履物または衣服を着用して車両を運転しないこと」と規定。改正後は「または衣服」の文言を削除する。県警は「禁止の対象が運転者に分かりにくく、違反の立証が困難と判断された」と改正理由を説明した。
引用:中日新聞
今の時代は何でもかんでも規制を強くする方向に話がすすむことが多いのに、このように規定が削除されるという方向になるとは思ってもいませんでした。
誰のためにもなっていない規則を見直して、必要ないものならやめるということが県レベルで行われたことは1つの良い事例だと考えています。
世の中には誰のためにもなっていない、守らせることが目的になっているルールがたくさんあります。(例:学校の校則とか)
この「#僧衣でできるもん」はSNSを通して極めて平和的に、誰かを攻撃するでもなく、デモも暴力もなしにルールを適正な拘束範囲に改正するはたらきを発揮した例として、とても優秀な運動であったと思います。
言うまでもないことですが、規則がないからなにをやってもOKと言いたいわけではありませんよ。
これを機に今まで以上に安全運転の意識を高めて、よりよい運転をしていきましょう。
(読売ONLINEで掲載されていた記事は現在削除されています。)