Twitterのタイムラインを追っていると、ブロガーフェスティバルでも盛り上がっているのが「ブログを書く技術を高めるには量より質か、質より量か?」という議論。
今日はブログに限らず自分なりに「技術を高める」ということに関しては考えがあるので、質と量どっちが大事か論を書きます。
結論:質より量だ。
こと技術の習得という意味では、かけた時間と反復数と研究量がモノを言うと思っています。
ぼくの場合ブロガーとしての歴は1年ほどですから、文章を書く技術というところで語ると説得力が少ないかもしれません。
ですので、少しフィールドを変えてフットバッグをどう上達してきたかと観点から技術の上達について書きます。
先にフットバッグでどういう成績をとってきたかを書くと、
- JFC2003 フリースタイル5位 Big1trick1位
- JFC2004 フリースタイル1位 Big3 1位 世界大会フリースタイルオープンクラス11位
- JFC2005 フリースタイル2位 Big3 2位
- JFC2006 不参加
- JFC2007 フリースタイル2位 Big3 3位
- JFC2008 フリースタイル3位 Big3 2位
- JFC2009 フリースタイル5位 Big3 2位
- JFC2010 フリースタイル2位 Big3 3位
- JFC2011 フリースタイル1位
- JFC2012 フリースタイル2位 Big3 1位
- JFC2013 フリースタイル1位 Big3 1位 (非公式競技サークルコンテスト1位)
- JFC2014 フリースタイル1位 Big3 1位 (非公式競技サークルコンテスト1位)
- JFC2015 フリースタイル1位 Big3 1位
- JFC2016 フリースタイル1位 Big3 1位
という感じです。大体上位にいます。
1回の勝利ならまだしも、成績を出し続けるためにはいつでも再現できる「技術」が必要になります。
最初はリフティングすらままならないまったくの知識ゼロの状態から、14年かけて現状まで成長するという過程を経験してきた中で、技術を高めるということはどういうことかをある程度理解したつもりです。
この「技術の習得過程を知る」ということは他のジャンルを学ぶ際にも応用できる非常に重要な知識なのです。
フットバッグとの出会い
ぼくがフットバッグを初めて知ったのは2002年、三宮の東急ハンズでした。
たまたま立ち寄った東急ハンズのジャグリングの道具コーナーでフットバッグの販売促進用のビデオが流れていたのです。
そのビデオの中では海外のプレイヤーが信じられない動きをしていて、一度は立ち去ったもののすごく気になって、またもう一度その映像を見に行ったんです。
▼こういうのが流れてたんですよ。
これ今見てもかっこいいビデオだなぁ。
店頭で流れているビデオを一通り見て、
「こんなのテレビでも見たこないし、まだ誰もやってないよな・・・?これからはやるとしても、みんな同じスタートなら練習次第で自分でもなんとかなるんじゃないか?」
と思ってその場で1個買って帰ったのがはじまりです。
おい、ぜんぜんできへんやんけ。
そのフットバッグを買って帰った日の夜。
当時住んでいた家から近くの公園の街灯の明かりを頼りにしばらく練習してみたところ・・・
▼はじまりの公園。
ぽて。
ぽと。
ぽて。
・・・・なんやこれ、全然できへんやん・・・・。
おい、昼間に見たビデオはどうなってるんだ?
まったく意味がわからんぞ・・・。
しばらくやってみたけど、まあどうにもならないわけですよ。
そもそも足にまともにあたらないし、フットバッグなるものをいろいろ触ってみても本当に何の変哲もないお手玉なわけで、どうやってみても東急ハンズで見た映像みたいにはならないのです。
そこで、とりあえず技はあきらめてリフティングが20回できたら家に帰ろう!というチャレンジに切り替えたけれども、その課題をクリアするのにそこから2時間以上かかったことを覚えています。
終わった時の達成感はすごかったですけどね。
それがフットバッグと出会った初日でした。
手がかりを探すの巻。
あまりに手がかりがないものだから、何度も東急ハンズのビデオを立ち見しに行ったりもしたけれども、もう全然わけがわからないわけです。
そこで誰か先にやっている人がいないかをネットで探して見ました。
当時インターネットが普及し始めたころで、まだ家にネット回線がなかったので授業が無くても大学の図書館まで行って情報を集める毎日。
いろいろ調べているうちに、その頃日本では3人だけインターネット上にフットバッグの情報をアップしている人がいるのを発見しました。
当時西宮に住んでいたので、3人の中で一番近かったのが大阪のOさん。
残り2人は東京周辺でした。
早速Oさんのサイトの掲示板に一緒に練習させて欲しいという旨を書いて連絡を取り、一緒に練習をさせてもらうことに。
ネット上で初めての人に連絡をとって実際に会うなんて今ではよくあることですが、当時はすごく大それたことだと思っていました。
しかし思い切って行動してみた結果、振り返って見ればこれが大きな転機だったのです。
Oさんは時々アメリカに行ったりもしていて海外プレイヤーともすでに親交があったので、少しだけですがすでにフリースタイルの技を習得していました。
その時Oさんに見せてもらった技は今でこそ大した事ないレベルの技ですが、はじめて生で見たときはビデオを見たとき以上に本当に衝撃を受けました。
そこからぼくは本当に気が狂ったように練習するようになっていきます。
教えてくれる人はいない。
当時日本にはフリースタイルフットバッグをまともにできる人はOさん含めいませんでした。
どこかの教室で習ったりするなんてこともできず、情報がどこにも無い以上自分たちで研究するしかないわけです。
しかもyoutubeみたいな動画サイトもありませんから、海外のプレイヤーが各自でサイトにアップしてある動画を探してはダウンロードしてコマ送り再生をして研究しました。
当時の動画は今みたいな滑らかな動画じゃありませんでしたし、画素も粗く1秒間のコマ数が少ないので、速い動きになるとコマとコマの間に知りたい情報があったりして研究するのは非常に骨が折れました。
Oさんと「こんな動画あったよ」、とか「この動画のこの部分見てみて」とかファイルやコメントをやり取りしながら情報を集めていき、その動画で発見したコツを自分の体で実験してみて、動きのマネをしたりタイミングを真似してみたりしながら上達していったのです。
やはりトライの数、そして練習量が必要。
当時どのぐらい練習していたかというと、平日でも1人で1日4〜5時間の練習量はあたり前。
集中力が続いたり、体力に余裕があればもっとやっていました。
それにプラスして動画の研究時間などもあるので考えてる時間というともっと長いですよね。
▼大学が終わったあと、バイト先の銭湯が夜遅くまで開いていたので、その駐輪場の明かりを借りて日付が変わっても練習していました。
そして土日にはOさんや他のプレイヤーとの練習。
この時は8〜10時間は練習していましたが・・・今考えると頭がおかしい・・・。
午前中バイトをして、昼食を食べたら大阪へ。
そして14時〜22時ぐらいは普通で、終電近くまで練習することも。
この時点でOさんもぼくも2人とも何が正解かがわかりませんから、うまくなるにはひたすら工夫してやり方を見つけるしかなかったのです。
基本の技も何度もフォームを変更しながら研究したり、姿勢や関節の向き、バランスなど細かく指摘しあいながら技術を追求していきました。
一度覚えた感覚も1回ゼロにして、別のやり方を試してみるなんてこともたくさんやりました。
というのも、初級の技の段階ではうまく技ができるコツでも、そのやり方で上級技に挑むと正解かどうかわからないということがあるからです。
基本の動きから上級技まで一貫した体の使い方を追求しながら応用力の高い技術を目指しました。
そして無数にある道を片っ端から試していき、使える情報を残していって今のスタイルになったわけです。
失敗の情報を集めることが大事だという記事も書きましたが、膨大な量のトライがあるから何が本質的であるかを見抜けるようになるわけです。
特に初期にこそ反復回数を増やし、いかに時間をかけるかということが技術を高めるためには大切なことなのです。
ブログはひたすら本数勝負だと思うけどな。特に初心者は。書きまくらないと見えてこない。量は質に転化するし、その体力があれば質のいい記事を量産できるようになるはず。
— イケダハヤト (@IHayato) 2016年9月24日
まったくもって同感です。
量をこなしたあと質がわかる。
それだけ初期の時間にほんとアホとしか言いようがないほどの練習時間をかけ、そしていろんなパターンを試してきたからこそ、質の高い練習内容や、やるべき練習の優先順位がわかるようになったということは間違いありません。
そして初心者の人の動きを見て、何が問題でどこをどう修正したら改善するかもパッとみたらすぐにわかるというのも、蓄積してきたデータ量があるからなのです。
これは自分が無数の回り道をしてきたから得られた知識であり、最初から正解ルートを人に教えられた状態だったら得られなかったものです。
確かに振り返ってみれば効率は悪かったとも言えるでしょう。
しかし、量をこなした人にしかわからない世界があるというのも事実です。
もちろん何が理想的かという話になると、質や精度の高い練習を反復するのが一番です。
中級者以上はひとつひとつの反復の精度を高めることが重要になってきますが、何が精度が高いか、質が高いか、ということが見抜けない初心者は結局量をやるしかないのです。
みんなでやるな、1人でやれ。
もうひとつ大事なことがあります。
それは1人で取り組むということ。
仲間が集まって練習することはある意味ではすごく重要なことです。
合宿とか合同練習会みたいなみんなで練習したり情報交換したりする機会は、モチベーションをアップさせる起爆剤としては非常に有効です。
しかし何より大事なのはその後1人の時間にどれだけ研究に取り組めるかということに尽きると思います。
みんなで楽しくやるとうまくなった気がするし、満足度が高かったりするけれども、そこでその快感に溺れたら負けです。
個人の技術を高めるというのはまた別の話で孤独な世界なのです。
自分の状態を知り、何ができて何が出来ないのか、何を出来るようになれば良いかを自分自身が把握できないといけないのです。
馴れ合いでは何もうまれません。
1人で自分を磨いてきた者同士がコラボレーションするから価値が生まれるのです。
最初から質を求めすぎる人は「課題をこなす」ことと「技術を高める」ということを混同している。
最初から質を追い求めて出来るだけ効率的、そして楽に上達しようとする人は「課題をこなす」ということと混同しています。
例えるなら「試験に出る問題だけを予想して勉強する感じ」とでも言えばいいでしょうか。
試験を突破するために出題傾向の高い問題から順番に取り組むというのは、課題をこなすための作戦としては最善の方法です。
しかしこと「技術を高める」という時にはそのやり方ではうまくいかないでしょう。
その学ぶジャンルの知識を大まかにカバーすることはできても細かい所まで知識を網羅することはできず、結局2流どまりになるわけです。
1万時間の壁という話がありますが、ぼくが出会ってきた様々なジャンルのプロはそのセンスや才能ももちろんあるでしょうが、みな一様に取り組んできた時間が圧倒的に多いです。
たまにそのジャンルが必要とする能力と本人の適性がマッチして、ものすごく短時間ですごい成長を見せる人がいるから話がややこしくなりますが、基本的にその道のプロは必ずといっていいほどとんでもない量の練習をやっています。
何か1つ技術の習得過程を知っていれば他ジャンルも学びが早い。
そういうわけで、ゼロから個人でなにか自分で切り開いて上達してきたという歴史を持っている人は「物事の学び方」を知っています。
新しいジャンルに挑戦するときも、
今自分がやっていることにはどんな意味があるのか?
初心者として何に気をつけてどんな姿勢で挑めばいいか?
ということがわかるのでそういう人は上達スピードが段違いなんですよね。
何が「質」なのか、おぼろげながらでもイメージしながら取り組むことができるから吸収スピードが変わってくるわけです。
それを踏まえて、ブログが上達するにはどうすればいいのかという話へ。
ブログが量を書くだけではすまない問題。
ブログの上達も基本的には同じで量をこなすことが基本なのですが、このブログというのは不思議な性質をもっていて、その練習段階で人目にさらされるというところに特徴があるんですよね。
通常、音楽とかパフォーマンスなら人目につかないところで練習を重ねて、訓練されたものを人前で発表するという形になります。
特に音楽なんかは楽器の音が出せるよ、なんてレベルでは自分自身でも人前に出ることは不可能だということがわかりますよね。
しかし文章の技術というのはちょっと性質が違っていて、人に読まれないと何が良い文章なのか書いてる当人にはわかりにくいという性質があります。
ですから下手くそでも何でもたくさん書いて、アドバイスや批判をもらい、周囲の反応をみながら進んでいくことが非常に重要なのですが、ここでひとつのジレンマが起こります。
文章上達のためには量を書くことが必要だけれども、ブログ運営という意味ではこの「練習段階の公開」が足を引っ張る結果になるということが起こってきます。
文字数の少ない記事を量産したり、誰の役にも立たないへなちょこ記事を書くと、その書いている人の練習にはなるけどブログ自体の評価が下がってしまい、人に読んでもらうためにブログを書いてるのにその意味が失われるというジレンマを発生させるのです。
ジレンマ解決方法
そこで、ブログを上達するために本気で量を書こうと思っている人に1つ提案があります。
それは2つのブログを作るという方法。
1つは独自ドメインでこれから育てるつもりの本気ブログを1個つくります。
そして2つめに無料のブログサービスを利用して練習用ブログを作り、そちらに記事をどんどん投稿していきながら評判や反応の良かった記事を本気ブログに修正をいれて移行していくという作戦です。
こうすれば本人のトレーニングとして玉石混淆な記事を量産しながら、育てたいサイトには良記事のみストックされていくということになります。
そのうちどんな記事が人に読まれて、何が自分の持ち味なのか執筆スタイルが決まってきたら無料ブログは切り捨てて、本気ブログに直接執筆していけば良いのです。
結局何にせよ技術の習得には量をやるしかない。
隙間時間を利用し、工夫し、ずっとそのことを頭の中に置いておいて何度もトライする。
そして、自分のものにしていくしかないわけです。
常に何が質が高いという状態なのか?ということを頭に意識しながら、とにかくやる。
なんどもやる。
修正する。
とにかくやる。
これが一番の近道であり、確実に上達する方法です。